今日も酒を言い訳に。

メンヘラの恥ずかしい毎日

別の世界では恋に落ちない2人だけど

彼の初恋の女の子になりたかった。

初めての彼女になりたかった。

ファーストキスも、初めてのセックスも、あたしとして欲しかった。

 

彼の元カノは3人

1人目は中学から付き合っていた彼女。学校のマドンナみたいな女の子だったらしい。

彼は「彼女が進学するから」という理由で高校の進路を決めた。

不良だった彼は高校の時たいそうモテたそうだが「あの子が彼女なら仕方ないよね…」と、身を引く女が多かったそうだ。

2人目は飲み会で知り合った大学生の彼女。

彼が19くらいの時に知り合ったそうだ。それはもう可愛くて、「めちゃくちゃいい子やった」「しかも頭も良かった」と言っていた。

彼女と結婚するために、一緒に貯金までしていたらしい。

3人目は2年前に付き合っていたモデル。あたしと同い年らしい。写真を見せられた。鼻筋が綺麗で、頭が小さかった。キャスケットが似合う女の子だった。

彼はクリスマスにペアリングをあげていた。(中に名前が掘ってあって腹が立ったので、風俗店での源氏名をその女の名前にした)

そして4人目があたし。風俗で働いて貯めた金で整形したけど下の上くらいの顔で、穴モテしかしたことが無い。歩いていたら「ブス」と言われたことが何度かある。

 

知り合った時、既に彼はアラサー。当然彼の初めては、もう何も残っていなかった。

クリスマスに見たイルミネーションは元カノのお古、あの場所も、あの歌も、別の女との思い出がいっぱいだ。

あたしももう立派な大人だし、30手前の男と付き合っているから、それは当たり前のことなのだ。あたしがRADWIMPSを聞いた時に思い出す男がいるように、彼にもそういう女がいる。あたしがあの道を歩いた時に彼を思い出すように、彼にもそういう女がいる。お互い様だし、当たり前のこと。でもそれを受け入れるほど、お互い様だと割り切れるほど、あたしは大人ではない。

 

だから、いつも「もしも」を考えてしまう。

「もしも」中学で出会えていたら、初恋の女の子になれたのかな、とか。答えはNOに決まっているのに。

中学の頃のあたしは今の100倍ブスだった。天パで髪がボサボサ、顔もブス、暗めの陰キャ、男の子と会話するなんて発想すらない。ラスボスマドンナの前ではスライムよりずっと弱い。

 

 あたし達は最悪の出会い方をした。

ナンパされた男と付き合ったり、Tinderでセックスして付き合ったり、色んな人がいると思う。

あたし達はそれよりもずっと人に言えないような、ここに詳しく書くことが出来ないくらいの、最悪の出会い方をした。

でも、この出会い方でなければ、お互い恋に落ちなかった。初恋の彼女にも、ファーストキスの彼女にもなれなかったが、今愛してもらえているのは、何者にもなれないタイミングで出会えたからだ。学校で目で追ってしまうような相手では無いし、飲み会で声をかける相手ではない。あのめちゃくちゃ汚い出会いでしか、恋に落ち得なかった。良い言葉で言えば奇跡なのかもしれない。けれどそんな綺麗なものじゃなく、言葉にするなら「程よい」というのが1番的確だ。

あたし達は「どんな世界でだって、君と出会えたら必ず恋に落ちていた」なんて2人ではなく、あの時「程良かった」2人なのだ。

 

あたしが元カノに嫉妬すると、彼は

「今一緒におるのはプーちゃんやで」

と眉を下げて言った。先日そういう問題ではないと怒ったら

「せやな、嫌やもんな、もうそう言わんとくな」

と言われた。優しいやつめ。

今一緒にいるからと言って過去が無くなるわけでは無いのだ。元カノの腹が立つところはそこ。無くなってしまえ。

 

「最初の女になれないなら最後の女になればいいじゃん」

そういう人もいるだろう。

確かに最後の女にはなりたい。しかし、それは「最初の女をあきらめる理由」にはならない。

あたしは絶対彼の最初がほしい。元カノと一緒にやった事はやりたくない。例えば恋空を一緒に見るとか、ユニバに行くとか、カーセックスとか、一緒に貯金とか、ペアリングとか!!!!

 

あたしは絶対意地でも、数少ない彼の「初めて」を掘り出してやるつもりだ。

先日、出かけている最中に彼の着ていたTシャツが事故で汚れてしまい、彼がブルーになっていた。せっかくなので良いものを買おうと1万円くらいのポロシャツを買った。彼はお値段以上の喜び方をしていた。買ったこちらが幸せになった。もう5枚くらい買ってやりたいくらいの喜び方だった。

さらに彼は

「まって…俺、女の子に服買ってもらうの初めてかもしれへん…」

と、自分で過去の記憶を確認しながら、つぶやくように言った。

こういうのをね、探して大切にしたいのよ、あたしはお前の元カノよりお前のこと好きだし、あたしが1番「初めての数が多い女」になりたいから。